美術の鑑賞学習をより楽しく深めるためにルーブリックを活用してみましょう。
研究実績概要
「美術鑑賞学習指導体系の構築に関する実践的研究」
本研究チームは、2003年より美術鑑賞学習指導の研究に取り組んできた。二度の小中学校教員への全国調査、カリキュラムに関する理論研究、教員の資料・教材(内容)としての書籍編纂、視覚教材と指導方法の開発、目標と評価規準の設定の拠りどころとしての「鑑賞学習ルーブリック」の作成、その活用法の提案と、段階を追って研究を積み上げてきた。
本研究の1年目には、チームメンバー全員で『ルーブリックで変わる美術鑑賞学習』を上梓し、全国の研究者・実践者700名にこれを送付し、「鑑賞学習ルーブリック」活用の意義の普及を図った。
2021年度は、上書を教科書とした「ルーブリックで変わる美術鑑賞学習」オンライン連続セミナーを開催し、本研究成果のさらなる普及と定着を図った(5月から12月まで毎月一回第3金曜日。20:00-20:50)。第1回、第2回を松岡(研究代表者)、第3回を大橋(研究分担者)、第4回を藤田(研究分担者)、第5回を松岡と新関(研究分担者)、第6回を新関と実践者1名、第7回は村田、第8回は萱(研究分担者)と実践者2名が担当した。参加者は、第1回が117名、第2回が101名、第3回が82名、第4回が72名、第5回が74名、第6回が63名、第7回が54名、第8回が54名であった。毎回、レクチャーを行うとともに、質疑応答の時間、協議の時間を設け、実践者への理解を促すとともに、研究チームとしては今後の研究の方向性を見出すことのできる反応を得ることができた。
終了後、セミナーの映像記録(USBメモリー版)を100個作成し、セミナー参加が叶わなかった研究者・実践者に配布した。
年度末には総括を行い、今後2年間で、本研究の最終目的である、鑑賞教育体系の構築の足がかりを得たことを確認した。
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「美術鑑賞学習のルーブリック評価と授業モデルの普及に関する実践的研究」
平成30年度は、美術鑑賞学習ルーブリック評価の精緻化のために、各地域の幼・小・中・高校で実践研究による実証授業を重ねつつ、課題や改善点を見出すとともに、鑑賞学習の指導方法の改善のために研究交流を深めた。特に授業実践については、北斎《神奈川沖浪裏》、ミロ《アルルカンの謝肉祭》等の作品を基準作品として、校種の違いによる検証を重ねた。研究代表者や各分担者と小中高校の教員とが共に研究をすすめてきたことが実践研究では重要であることを再認識することができた。
一方、本研究以前の実践も含めた鑑賞学習の指導法について、ルーブリック活用と重ね合わせた公開研究発表会を東京、滋賀において開催した。それらの開催によって研究の社会的還元の重要性もさらに自覚することができた。
また、平成29年8月には韓国、大邱にて開催された国際美術教育学会(InSEA)世界大会において、「美術鑑賞学習のルーブリック評価による授業モデル」と題して発表を行うとともに、3月の美術科教育学会においても同様の発表を行ったが、予想以上の聴講がありルーブリックに対する関心の高さが窺われた。
これらの研究成果として、鑑賞指導案集(約20題材)をまとめることができた他、ルーブリックを活用した鑑賞学習は、教師の目標と評価が明確になり授業改善に資することが明らかとなった。また、鑑賞学習での教師及び児童の発話等を中心に行った授業分析では、省察の観点も明確になることで授業改善の指針を示せるようになった。
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